猫白血病(FeLV)陽性と言われたら|再検査・同居猫・寿命

猫白血病(FeLV)陽性と言われたら|再検査・同居猫・寿命

迎えたばかりの愛猫の血液を動物病院で簡易検査したところ、猫白血病ウイルス(FeLV)が陽性でした。ただ、1回の検査だけではまだ判断できません。健康な室内飼いの猫なら、偽陽性の可能性もあります。本当に感染していても、自分の力でウイルスを抑え込み、しばらくして陰性になる猫もいます。

院内検査で陽性が出たら

院内の簡易検査では、血液中にある p27 抗原というウイルスのたんぱく質を調べます。陽性であれば、多くの場合、いま血液中にウイルスがいることを示します。

まずは別の方法で検査し直しましょう。血液を検査機関に送って抗原検査や PCR 検査をしてもらう方法と、別のメーカーの簡易検査キットで調べ直す方法があります。PCR 検査では、血液細胞の中に入り込んだウイルスの遺伝子を調べます。一度も外に出たことのない健康な猫ほど、確認が大切です。もともと感染の確率が低いぶん、陽性の結果が偽陽性であるケースが増えるからです。2種類の検査で結果が食い違うこともあり、はっきりするまで何度か検査が必要になる場合もあります。

陽性が確認されたら、6週間以上あけてもう一度検査します。ウイルスを抑え込んだ猫は、感染からおよそ16週以内に陰性になることが多いです。6週間たっても陽性のままなら、持続感染である可能性が高いと考えられます。ただし、さらに検査を重ねないと判断できない猫もいます。

結果が出るまでは、愛猫に専用の部屋を用意し、食器とトイレもほかの猫と分けておきましょう。あくまで一時的な対応です。検査で陽性が出たことだけを理由に安楽死を選ぶべきではないと、獣医師向けのガイドラインにもはっきり書かれています。

同居している猫はどうする?

家にいるすべての猫が検査を受けましょう。陽性の猫がしばらくほかの猫と暮らしていたなら、ほかの猫もすでにウイルスにさらされている可能性が高いです。同じ食器を使い、毛づくろいし合い、寄り添って眠ってきたからです。ウイルスにさらされた猫の多くは抵抗力を身につけ、持続感染にはなりません。とはいえ一頭一頭違うので、検査で確かめることが大切です。

ほかの猫が陽性の猫と接したのがつい最近なら、最初の検査が陰性でも、まだ結論は出せません。感染した猫の多くは、接触から30日以内に陽性になりますが、それ以上かかる猫もいます。数週間あけて、もう一度検査しておきましょう。

陰性だった猫には、猫白血病ウイルスのワクチンを接種します。陽性の猫とこの先ずっと別々に暮らす予定でも、接種しておくことがすすめられています。ワクチンが効き始めるまでには時間がかかるので、接種した猫は、初回接種シリーズの最後の1回から少なくとも3週間、陽性の猫に近づけないようにしましょう。ワクチンで感染のリスクは下がりますが、すべての感染を防げるわけではありません。

陽性の猫と暮らす成猫のうち、今回陰性だった猫の約10〜15%が、のちに陽性になるとされています。多くは体内に潜んでいたウイルスが再び活発になったもので、新たな感染は少数です。そのため、家にいるすべての猫を少なくとも年に1回は検査することがすすめられています。

ふたたび同じ空間で暮らせるかどうかは、検査の結果とご家庭の状況によって変わります。獣医師と相談して決めましょう。

猫白血病ウイルスに感染した猫の寿命

寿命は感染のタイプによって大きく変わります。再検査は、このタイプを見分けるためのものです。

ウイルスが体内で活動し続けている状態を、「進行性感染(progressive infection)」と呼びます。進行性感染の猫は寿命が短くなることが多く、感染から数年のうちに猫白血病ウイルスに関連する病気を発症する猫が少なくありません。ただ、個体差はとても大きく、何年も元気に過ごす猫もいれば、急に悪化する猫もいます。診断の時点で貧血があったり、体調を崩していたりする猫は、悪化しやすい傾向があります。

猫がウイルスを抑え込んだ状態は「退行性感染(regressive infection)」と呼ばれ、見通しはずっと明るくなります。ウイルスは細胞の中に潜み続けますが、再び活発になることはまれと考えられていて、そうならない限り、ふつうの猫と同じくらいの長生きが期待できます。ストレスや妊娠、ほかの病気をきっかけに、何年もたってから再び活発になることもあります。ごくまれに、血液検査ではウイルスが見つからなくなった猫が、リンパ腫など猫白血病ウイルスに関連する病気を発症することもあります。

院内検査(抗原)PCR 検査ほかの猫にうつす?見通し
進行性感染陽性が続く陽性うつす(唾液から)寿命は短め。定期的な受診が大切
退行性感染最初は陽性、のちに陰性多くは陽性うつさない(再活性化しない限り)良好。ふつうの寿命を全うできることが多い

このほか、ウイルスが一部の組織にだけとどまる「限局性感染(げんきょくせいかんせん)」という、比較的まれなパターンもあります。この場合は血液検査の結果が陽性になったり陰性になったりするため、獣医師が何度か検査をすすめる理由のひとつになっています。

猫白血病ウイルスの感染経路

ウイルスは主に唾液に含まれ、毛づくろいし合う、食器を共有するといった長い時間の密な接触でうつります。けんかの咬み傷からうつることもあります。トイレの共有による感染リスクは比較的低めです。母猫から子猫へ、妊娠中や授乳を通じてうつることもあり、子猫は成猫よりもずっと感染しやすいとされています。

ウイルスは猫の体外では長く生存できません。乾いた場所ではすぐに感染力を失いますが、濡れた食器の中では少し長く残ります。陽性の猫が暮らしていた家に新しい猫を迎えるときは、しっかり掃除をすれば十分です。何週間も間をあける必要はありません。

人が猫白血病ウイルスに感染したという記録は、これまでにありません。気をつけたいのは、ご家族に免疫が弱っている方がいる場合です。陽性の猫はほかの感染症にかかりやすく、その中には人にうつるものもあります。当てはまる場合は、獣医師に伝えておきましょう。

猫白血病ウイルスは、猫エイズ(猫免疫不全ウイルス、FIV)とよく混同されます。猫エイズは主にけんかの咬み傷からうつり、感染していても長生きする猫がたくさんいます。一方、猫白血病ウイルスは仲のよい猫同士の毛づくろいでも広がり、猫エイズより重い病気につながりやすいウイルスです。猫エイズについては、猫エイズ(FIV)の記事で詳しく解説しています。

陽性の猫との暮らしと日々のケア

猫白血病ウイルスの感染を根本から治す方法は、いまのところありません。できるだけ長く元気に過ごせるようにして、変化に早く気づいてあげることが目標になります。

愛猫は完全室内飼いにしましょう。ほかの猫にうつすのを防げますし、免疫が弱っているかもしれない愛猫自身が、外で別の感染症をもらうのを防ぐことにもなります。

動物病院には少なくとも半年に1回は通い、そのたびに血球計算(CBC)を受けましょう。血液生化学検査と尿検査は年に1回が目安です。診察では、口の中やリンパ節、目、皮膚を丁寧に診てもらいます。異変はこうした場所に最初に現れることが多いからです。

生肉は与えないようにしましょう。細菌や寄生虫がいることがあり、健康な猫なら問題にならなくても、陽性の猫には負担になるかもしれません。

体重は自宅でも量っておきましょう。毎日顔を合わせていると、少しずつやせていくのには気づきにくいものです。体重の減少は、体の変化の最初のサインであることが少なくありません。定期的に記録しておけば、減ってきていることがすぐにわかります。

ストレスも、潜んでいたウイルスを再び活発にするきっかけになります。生活のリズムを一定に保ち、トイレや食事の場所を十分に用意して、静かに隠れられる場所もつくってあげると、愛猫が落ち着いて過ごしやすくなります。猫のストレスのサインは見逃しやすいので、猫のストレスサインの記事も参考にしてください。

次の受診日を待たずに相談したい変化

健康な猫なら乗り越えられる感染症でも、陽性の猫では急に重くなることがあります。次のような様子があれば、すみやかに動物病院に連絡しましょう。

  • 食べる量が減った、体重が落ちた
  • 元気がなく、動きが少ない
  • 呼吸が速い、苦しそう
  • 口の中が赤く腫れている、痛がる
  • 目が濁っている、目の様子がいつもと違う
  • 熱がある
  • トイレの回数や様子が変わった

進行性感染の猫のおよそ4頭に1頭は、のちにリンパ腫(リンパ球ががん化する病気)を発症します。定期的な受診と体重の記録は、こうした異常を早く見つけるためのものです。「白血病」という名前ですが、実際に多いのはリンパ腫や貧血、免疫力の低下で、白血病そのものはむしろ少数です。

歯ぐきや口の中の炎症も猫白血病ウイルスとの関連が知られているので、歯のチェックも日々のケアに加えておきましょう。病気を発症した場合の治療は病気の種類によって異なるため、どんな選択肢があるかは獣医師に相談してください。

猫白血病ウイルスの予防:検査とワクチン

猫白血病ウイルスのワクチンを初めて接種する前に、どの猫も検査を受けておきましょう。ワクチンは、ウイルスにさらされた猫が持続感染になる可能性を下げてくれますが、すでに感染している猫には効果がありません。ワクチンが院内検査の結果に影響することは通常ありませんが、接種後に抗原検査が陽性を示すことがあると添付文書に記載している検査キットもあります。接種した日は獣医師に伝えておきましょう。

子猫への接種については、ガイドラインによって考え方が少し異なります。感染率が高い地域では、すべての子猫への接種をすすめるものもあれば、ノンコアワクチンとして、ほかの猫と接する機会がありそうな子猫にだけすすめるものもあります。お住まいの地域でどのくらい見られるかは、かかりつけの獣医師がよく知っています。日本では、一般的な3種混合ワクチンには含まれていませんが、4種以上の混合ワクチンには、猫白血病ウイルスのワクチンを含むものが多くあります。接種前の検査とあわせて、どのワクチンを使うか相談しましょう。

成猫の場合は、外に出る猫、外に出る猫と一緒に暮らしている猫、陽性の猫と同居している猫であれば、接種について獣医師と相談してみましょう。ずっと室内で暮らし、同居猫も陰性であれば、ウイルスにさらされる機会はほとんどありません。接種のスケジュールやほかのワクチンについては、猫のワクチンの記事で解説しています。

受診のときに聞いておきたいこと

次に受診するときは、こんなことを獣医師に聞いてみましょう。

  • 確認にはどの検査を使うか、再検査はいつにするか
  • ほかの猫も検査やワクチン接種を受けたほうがよいか
  • 結果が出るまで、家の中をどう分けておけばよいか
  • 感染のタイプがわかったら、どのくらいの間隔で受診すればよいか
  • 家でどんな変化があったら連絡すべきか

よくある質問

猫白血病ウイルスの検査で陽性だった猫が、陰性になることはありますか? あります。最初は陽性でも、ウイルスを抑え込んで、その後の院内検査で陰性になる猫がいます。多くは感染からおよそ16週以内です。ウイルスは細胞の中に残っていて PCR 検査では見つかることもありますが、こうした猫はほかの猫にうつすことはほとんどなく、ふつうの猫と同じくらい長生きすることも多いです。そのため、最初の陽性から6週間以上あけて再検査することがすすめられています。

猫白血病ウイルスに感染した猫の寿命は? 感染のタイプによって異なります。持続感染(進行性感染)の猫は寿命が短くなることが多く、感染から数年のうちに関連する病気を発症する猫が少なくありませんが、何年も元気に過ごす猫もいます。ウイルスを抑え込んだ猫(退行性感染)は見通しがずっと明るく、ふつうの寿命を全うできることが多いです。

陽性の猫とほかの猫は一緒に暮らせますか? 猫白血病ウイルスは、毛づくろいや食器の共有といった密な接触でうつるため、結果がはっきりするまでは陽性の猫と陰性の猫を分けて生活させましょう。家にいるすべての猫が検査を受け、陰性の猫はワクチンを接種しますが、ワクチンですべての感染を防げるわけではありません。今後一緒に暮らせるかどうかは、獣医師と相談して決めましょう。

猫白血病ウイルスは人にうつりますか? うつりません。人が感染したという記録は、これまでにありません。ご家族に免疫が弱っている方がいる場合は、医師と獣医師に伝えておきましょう。陽性の猫はほかの感染症にかかりやすく、その中には人にうつるものもあるためです。

参考文献

  1. Little, S., Levy, J., Hartmann, K., Hofmann-Lehmann, R., Hosie, M., Olah, G., & St Denis, K. (2020). 2020 AAFP Feline Retrovirus Testing and Management Guidelines. Journal of Feline Medicine and Surgery, 22(1), 5-30. PMC11135720
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  6. 農林水産省 動物医薬品検査所.(2025). 動物用医薬品等データベース 16735(thinka ネコ免疫不全ウイルス抗体/ネコ白血病ウイルス抗原検査 コンボキット)使用上の注意. 動物医薬品検査所

執筆 · Furwise 創設者、動物病院アシスタント