ひざの上でゴロゴロとのどを鳴らしている愛猫をなで続けていたら、急に振り向いて噛まれた。このときの噛みつきは、たいてい「もうやめて」という合図です。ほかにも、遊びで興奮したとき、怖いとき、体が痛いときに噛むこともあり、噛む前の様子からおおよそ見分けられます。
なでているときに噛むのは、なですぎのサイン
多くの猫は、噛む前にしぐさや体の動きで知らせてくれます。
- 瞳孔が大きく開く
- しっぽを振る、ピクピク動かす
- 耳が後ろを向く、前後にせわしなく動く
- 背中の皮膚がピクピクと波打つ
- 急に体がこわばる、手のほうへさっと顔を向ける
軽く噛むのも、同じ合図です。こうしたサインが見えたら手を止め、愛猫が離れていくなら、追いかけてまでなでないようにしましょう。
なでるときは、愛猫が自分から近づいてくるのを待ち、頭やほお、あごなど、猫がなでられて喜びやすい場所から始めましょう。数秒なでたら手を止め、愛猫がまた体をすり寄せてきたら続けます。
子猫が遊びながら噛む
2歳くらいまでの子猫や若い猫は、もともと遊び方が荒っぽいものです。物陰から飼い主さんの足をじっと狙い、通りかかったところに飛び出して噛みつくこともあります。きょうだい猫と一緒に育たなかった猫は、じゃれ合いの中で力加減を覚える機会がなく、強く噛みがちです。
手や足で遊んであげると、愛猫は人の手足をおもちゃだと思ってしまいます。遊ぶときは猫じゃらしを使い、手は愛猫から離しておきましょう。飛びかかって噛んできたら、遊びをやめてその場を離れます。かまったり叱ったりせず、そっと離れるのがポイントです。エネルギーを持て余していると飛びかかりも増えるので、毎日しっかり遊んであげることも大切です。
遊び?なですぎ?それとも怖がっている?
どれに当てはまるかは、まず噛んだタイミングを、次に体の様子を見ると分かります。
| 遊びで興奮 | なですぎ | 怖がっている | |
|---|---|---|---|
| 噛むタイミング | 人が歩いたり、手足を動かしたりしているとき | しばらくなでたあと | 追い詰められて逃げ場がないとき |
| 噛む前の様子 | 物陰から狙い、飛び出してくる | しっぽを振る、耳が後ろを向く、背中の皮膚が波打つ | 体を低くする、耳を伏せる、シャーッと威嚇する、毛を逆立てる |
| 対応 | その場を離れる。遊ぶときは猫じゃらしで | 手を止め、離れていくなら追わない | 近づかず、落ち着くまで待つ |
遊びで興奮している猫も瞳孔が開き、耳を後ろに伏せることがあるため、耳だけでは見分けられません。噛む直前に何をしていたかを見るほうが確かです。
強く噛むのは、痛みや恐怖のサインのことも
人なつこかった猫が急に触ると噛むようになったら、体のどこかが痛いのかもしれません。関節炎や歯のトラブル、甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう)などがあると、触られるのを嫌がって攻撃的になることがあります。いつも同じ場所を触ったときに噛むなら、そこが痛む可能性があります。こうした急な変化があれば、まず動物病院で診てもらいましょう。食欲が落ちている、隠れていることが増えたといった様子もあれば、なおさらです。痛みのサインは猫の痛みのサインの記事でも紹介しています。
もうひとつは、八つ当たりのような噛み方です。窓の外に野良猫が見えたり、大きな音に驚いたりして興奮し、その相手に届かないと、近くにいる人やほかの猫に向かっていきます。しばらく時間がたってから噛むこともあるので、理由もなく噛んだように見えます。そんなときは抱き上げたり触ったりせず、人がその場を離れてそっとしておき、落ち着くのを待ちましょう。
猫に噛まれたときは
猫の歯は細くとがっているため、噛み傷は小さく見えても深く、口の中の細菌が入り込みやすいのです。噛まれたら、すぐに石けんを使い、流水で傷口をよく洗いましょう。皮膚が破れるほど噛まれたら、医療機関を受診すると安心です。手を噛まれた、傷が深い、あとから赤く腫れる、熱をもつ、痛みが強くなるといったときは、特に早めに受診しましょう。受診の際は、猫に噛まれたことを伝えてください。
よくある質問
愛猫が軽く噛むのはどういう意味ですか? なでているときに軽く噛むのは、たいてい「もう十分」という合図です。その前に、しっぽを振る、耳が後ろを向く、背中の皮膚がピクピクするといった様子が見られることが多いので、そこで手を止め、離れていくなら行かせてあげましょう。
猫が強く噛むのはなぜですか? 強く噛む理由として多いのは、怖がっている、遊びで興奮しすぎた、体が痛いの3つです。怖がっている猫は体を低くし、耳を伏せ、シャーッと威嚇するので、近づかずに落ち着くのを待ちましょう。これまで噛まなかった猫が急に攻撃的になった、同じ場所を触ると噛むという場合は、動物病院で診てもらいましょう。
子猫がよく噛むときはどうすればよいですか? 子猫の遊びはもともと荒っぽく、手や足で遊ぶと、人の手足をおもちゃだと覚えてしまいます。猫じゃらしで遊び、飛びかかって噛んできたら、叱らずに遊びをやめて離れましょう。子猫を迎えたばかりなら、子猫のお迎えの記事でも遊び方を紹介しています。
猫の噛みぐせはどうしつければよいですか? 噛みぐせは、叱るよりも、噛む理由に合わせて接し方を変えるほうが直りやすくなります。叱ると猫はかえって怖がり、噛みやすくなることがあります。なでている途中で噛むなら、たいていなですぎなので、しっぽを振り始めたら手を止めます。遊びの途中で飛びかかって噛むなら、人の手足をおもちゃだと思っているので、猫じゃらしで遊び、飛びかかられたら遊びをやめて離れましょう。
参考文献
- Cornell Feline Health Center. Feline Behavior Problems: Aggression. Cornell University
- ASPCA. Aggression in Cats. ASPCA
- VCA Animal Hospitals. Cat Behavior Problems: Aggression – Petting Aggression. VCA
- VCA Animal Hospitals. Play and Predatory Aggression in Cats. VCA
- VCA Animal Hospitals. How Do I Know if My Cat Is in Pain? VCA
- International Cat Care. Handling and interactions. iCatCare
- International Cat Care. Playing with your cat. iCatCare
- Haywood, C., Ripari, L., Puzzo, J., Foreman-Worsley, R., & Finka, L. R. (2021). Providing Humans With Practical, Best Practice Handling Guidelines During Human-Cat Interactions Increases Cats’ Affiliative Behaviour and Reduces Aggression and Signs of Conflict. Frontiers in Veterinary Science, 8, 714143. PMC
- Ellis, R., & Ellis, C. (2014). Dog and Cat Bites. American Family Physician, 90(4), 239-243. AAFP
- Centers for Disease Control and Prevention. Cats. CDC