猫下部尿路疾患(FLUTD)|症状・治療・予防を徹底解説

猫下部尿路疾患(FLUTD)|症状・治療・予防を徹底解説

猫下部尿路疾患(FLUTD)は、愛猫が動物病院を受診する理由として多い病気のひとつです。オス猫の場合、尿道が完全に詰まる尿道閉塞は、24〜48 時間で命に関わる本当の緊急事態になります。この記事では、症状の見分け方、その奥にある原因、現在の標準的な治療、そして再発を防ぐための工夫について、順に説明していきます。

オス猫が今、力んでいるのに尿がほとんど出ていないとき

「一晩様子を見る」は危険です。オス猫が何度もトイレに通って、数滴しか出ない、あるいはまったく出ない状態は、朝まで様子を見るのは危険で、数時間以内に救急動物病院へ連れて行ってください。高カリウム血症(こうカリウムけっしょう)や急性腎障害は短時間で進み、猫自身も強い痛みを感じています。クランベリー、リンゴ酢、温湿布などの民間療法は試さず、「もう少し様子を見る」もやめて、今すぐ動物病院へ向かってください。24 時間対応の救急動物病院がない地域では、かかりつけ医の夜間連絡先や夜間に対応してくれる近隣の病院を、ふだんから確認しておきましょう。

猫下部尿路疾患(FLUTD)とは

「猫下部尿路疾患(FLUTD:Feline Lower Urinary Tract Disease)」は、膀胱(ぼうこう)と尿道に炎症や閉塞を起こす疾患を指す総称です。ひとつの病名ではなく、さまざまな原因による症状の集まりを表します。

主な原因の内訳は、これまでに報告されている症例集計でおおよそ次のようになっています。

原因割合
猫特発性膀胱炎(FIC)約 53%
尿石症(結晶や結石)約 29%
尿道栓子(にょうどうせんし)約 18%

これに加えて、若い健康な猫では真の細菌性尿路感染症はあまり多くありません。ただし 10 歳を超えると、特に慢性腎臓病、糖尿病、甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう)のある猫では細菌感染の割合が増えてきます。これは後ほど詳しく触れます。健康な若い成猫が泌尿器の症状を示すとき、真の細菌性感染症よりも特発性(とくはつせい)膀胱炎のことが多いという感覚を、まずは持っておいてください。

なぜオス猫はリスクが高いのか

オス猫の尿道はメス猫より長く細く、特に陰茎(いんけい)内の部分は直径がわずか約 1 mm しかありません。結晶や結石、あるいは柔らかい栓子の塊がここに詰まると、尿の流れが完全に止まってしまいます。

尿道が完全に詰まると、尿の行き場がなくなり、毒素が体内に蓄積し、腎臓は機能不全に陥り、血中のカリウムも上昇していきます。この組み合わせは、膀胱が破裂するより先に致死的な不整脈(ふせいみゃく)を起こすことがあります。猫の臨床で「時間単位で動くべき」と言われる、数少ない場面のひとつです。

症状の見分け方

原因がどれであっても、FLUTD の発作は外から見たときの様子が似ています。

  • トイレに何度も行くのに、尿はほんの少ししか出ない
  • 排尿時に鳴く、うなる、大きな声を出す
  • 尿がピンク色や赤色をしている
  • トイレ以外の場所、特にタイルや浴槽など冷たくつるつるした場所で排尿する
  • 陰部をしきりに舐めている
  • 排尿の姿勢を異常に長く続けている

メス猫、あるいはまだ尿が少しは出ているオス猫の場合、これらは膀胱の炎症を示すサインであることが多く、必ずしも閉塞とは限りません。一方、オス猫でまったく尿が出ていない場合は、獣医師が「閉塞ではない」と判断するまでは閉塞として対応してください。

すぐに病院へ行くべきサイン

冒頭のオス猫の緊急事態に加えて、以下のような症状はメス猫でも当日中に受診すべきサインです。

  • 何度も痛そうにトイレに通うのに、ほとんど排尿できていない
  • お腹が目に見えて張っていて、触ろうとすると嫌がる
  • 嘔吐、ぐったり、食欲が完全にない、といった全身症状が同時にある
  • 立てない、よろよろしている

猫は痛みを隠すのが得意です。トイレで声を上げているときには、すでにしばらく我慢していたと考えてあげてください。

奥にある本当の原因

猫特発性膀胱炎(FIC)

FIC は FLUTD のなかでもっとも多く診断される一方で、飼い主さんにとってはいちばん理解しづらい状態かもしれません。定義上、目に見える原因(感染、結石、腫瘍など)はすべて検査で除外されたうえで残る診断だからです。膀胱は炎症を起こし、愛猫はつらそうにしているのに、はっきりした原因をひとつに絞って説明しにくいのです。とくにオス猫では、まずは閉塞や結石をしっかり否定する必要があります。FIC は除外を積み重ねた末にたどり着く特発性(とくはつせい)の診断で、最初から決めつけるものではありません。

近年は、FIC を膀胱だけの病気ではなく、ストレス応答が過敏な全身性の病態として捉える考え方が広がっています。こうした文脈でパンドラ症候群(Pandora syndrome)という概念が紹介されることもあります。要点をシンプルに言えば、こういう猫はストレスに反応する仕組みが過敏で、その影響は膀胱だけでなく体のほかの部分にも及ぶということです。新しいペットが来た、家の改装が始まった、ごはんの時間がずれた。猫が「いつもと違う」と感じる出来事があると、その反応が膀胱にも現れてしまうのです。「気のせい」ではなく、泌尿器に現れる全身的な反応として理解するのが現代的な見方です。

主な引き金として、次のようなものがあります。

  • 引っ越し、リフォーム、新しい家具、模様替え
  • 新しい家族(人間・動物)の出現、または家族の引っ越し
  • トイレ周りの問題(数が足りない、屋根付きトイレが苦手、清掃が追いついていない)
  • 多頭飼いでの資源の取り合い
  • 飼い主さんの生活リズムの変化、特に食事や遊びの時間
  • 窓の外に外猫が現れる

結晶と結石

尿が濃くなったり、ミネラルのバランスが崩れると、ミネラルが結晶として出てきます。結晶が集まると結石へと成長します。猫でよく見られる 2 種類の結石は性質がかなり違うため、種類の特定が大切です。

ストルバイトシュウ酸カルシウム
猫の結石に占める割合約 45%約 41%
好発年齢2〜7 歳8〜12 歳
食事で溶解できるかできるできない、摘出が必要
診断方法画像検査と摘出後の結石分析画像検査と摘出後の結石分析

猫のストルバイト結石はほとんどが無菌性で、犬のストルバイト(感染が背景にあることが多い)とは事情が違います。多くは処方食による溶解療法が効きます。シュウ酸カルシウム結石は食事では溶けないため、外科的な摘出や、より小さい結石を取り出す処置が必要になります。最終診断は、摘出または排泄された結石を分析機関で成分検査することでしか確定できません。レントゲンの写り方や尿の pH はあくまでヒントで、成分分析の代わりにはなりません。

ストルバイト溶解食はどの猫にも使えるわけではありません

子猫、妊娠中の猫、腎臓病や高血圧のある猫では適さないことがあるため、必ず獣医師の判断が必要です。確定診断と獣医師の管理なしに自己判断で始めるべき食事ではありませんし、ストルバイトがない猫に長く与え続けると、かえって体に負担をかけることがあります。

尿道栓子

尿道栓子は、タンパク質、細胞の破片、結晶、粘液が混じり合った柔らかい塊で、尿道に詰まります。固形の結石とは違って、まさに「詰まり物」のような柔らかさです。ほぼオス猫のみに起き、オス猫が尿道閉塞を起こすときの主な原因のひとつです。

細菌性尿路感染症(高齢猫では思っているより多い)

健康な若い成猫が泌尿器の症状を示しているとき、真の細菌性尿路感染症は実はあまり多くありません。そのような猫では、最終的に FIC と診断されることが少なくありません。ただし年齢が上がると話が変わってきます。10 歳を超えた猫、特に慢性腎臓病、糖尿病、甲状腺機能亢進症、または過去に尿道カテーテルを留置したことのある猫では、細菌性感染症を現実的な可能性として考える必要が出てきます。尿が薄まりやすいうえに、免疫防御も低下しがちなので、細菌が定着しやすくなるのです。

年齢で見立てる、おおまかな目安

3 歳の猫に血尿と排尿時に痛がる様子があれば、まず FIC を疑います。一方、腎臓病のある 13 歳の猫が血尿を出している場合は、本当の細菌性感染症の可能性が前に出てきて、尿培養がより重要になります。治療の方向性がまったく違うため、獣医師は検査を選ぶ前に、まず愛猫の年齢と既往症を確認します。

診断

標準的な検査は、尿検査(pH、比重、血液の有無、タンパク質、結晶の確認)、必要に応じた尿培養、そして血液検査(腎機能と電解質の確認)の組み合わせです。レントゲンは膀胱と尿道の結石の有無を見るためのもので、超音波検査ではレントゲンに映らない小さな結石を見つけたり、膀胱壁の厚さを評価したりできます。

自宅での尿の採取

オス猫が力んでいるのに尿がほとんど出ていない状況では、家での採尿を試みないでください。 その状況で愛猫に必要なのは救急受診であって、サンプル採取の時間ではありません。緊急ではないフォローアップで獣医師から事前に尿を持ってくるよう言われたときは、動物病院で案内される非吸収性の採尿用猫砂や採尿キットを使うのが手軽です。普段の猫砂を一時的に空にして採尿用の砂・キットを敷き、出た尿を清潔な容器に移します。ただし細菌培養を行う場合は、汚染を避けるために動物病院で膀胱から直接尿を採取する膀胱穿刺(ぼうこうせんし)が好まれます。

治療

何をするかは原因によって完全に変わってきます。だからこそ診断が先で、自己判断は最後に回すのが大切です。

FIC への対応:痛みのコントロール、ストレス軽減、水分摂取

FIC には、抗生物質で尿路感染を治すような「治してしまえば終わり」の方法はありません。代わりに、発作時にはきちんと痛みを取り、発作の合間には愛猫が感じている「脅威」を減らしていくことが現実的な戦略になります。

痛みのコントロール。 FIC は痛い病気です。獣医師はガバペンチン(gabapentin)の自宅投与で短期の鎮痛をはかることが多くなっており、ブプレノルフィン(buprenorphine)も口の粘膜から吸収させる形で院内で使われます(日本では麻薬指定の関係で自宅投与の処方は一般的ではありません)。非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs、たとえばメロキシカム(メタカム)やロベナコキシブ(オンシオール))は、日本では運動器の急性疼痛・炎症が主な承認効能で、FIC に対しては獣医師の判断で適応外に用いられることがある選択肢です。水分が十分で腎機能が正常な、閉塞性ではない発作にだけ検討されます。閉塞している猫や脱水している猫には腎障害を悪化させるおそれがあるので使えません。実際に使えるかどうかは血液検査の結果を見て獣医師が判断します。なお、過去に処方された人間用や動物用の鎮痛薬を自己判断で与えるのはやめてください。一般的な痛み止めのなかには、少量でも猫に毒性を示すものがあります。

プラゾシンとその他の尿道弛緩薬。 以前の指針では、閉塞解除後の猫にプラゾシン(prazosin)を退院時に処方するのが定番でした。最近のプラセボ対照試験では効果が確認されておらず、多施設の比較研究ではむしろ再閉塞率が高くなる結果が出ました。ルーチンでは用いない施設が増えています。

多面的環境調整(MEMO)。 ここは飼い主さんが主役の領域で、長期的にいちばん効くポイントでもあります。基本は次の通りです。

  • トイレは猫の頭数+1 個、静かで人通りの少ない、愛猫が実際に使いたがる場所に
  • 香料の入っていない凝固砂を選ぶ。少なくとも 1 日 1 回はかきとる
  • キャットタワー、窓辺の棚、棚板やステップなどで縦方向の空間を確保し、各猫が自分の領域を持てるようにする
  • 食事と遊びの時間をできるだけ一定に
  • 追われずに隠れられる「逃げ場」を用意する
  • 通院、来客、リフォームなどストレスになりやすい出来事の前には、ガバペンチンの事前投与について獣医師に相談する

フェロモン製剤(フェリウェイなど)には、ストレスが関与する泌尿器症状に対して一定の報告があります。全体の対策の一部として試す価値はありますが、上で挙げた基本的な環境調整の代わりにはなりません。グルコサミン系のサプリメント(コセクインなど)は広く売られていますが、FIC を対象とした比較試験では期待されたほどの効果は確認されていないため、購入を検討する前に知っておくと良いでしょう。

ストルバイト結石への対応

画像検査と尿 pH からストルバイトが疑われ、結石が膀胱内にとどまっている(尿道で詰まっていない)場合は、結石溶解用の療法食で数週間から数か月かけて結石を縮小・消失させられることがよくあります。新しいフードへの移行は 1 週間ほどかけて段階的に行い、2〜4 週ごとに画像で結石の縮小を確認します。レントゲンで結石が見えなくなってからもさらに 30 日間は処方食を続けます。期間中は他のフードやおやつを与えると十分な効果が得られなくなるので、与えないようにします。

シュウ酸カルシウム結石への対応

シュウ酸カルシウム結石は食事では溶解できません。膀胱切開術(ぼうこうせっかいじゅつ)などの外科手術か、結石を流し出したり取り出したりする手技で物理的に取り除く必要があります。その後の食事は、新しい結石を作らせない予防食に切り替えます。

緊急の閉塞解除(尿道閉塞への処置)

オス猫が閉塞したとき、獣医師の最初の仕事は愛猫を安定させることです。静脈ルートの確保、血液検査での電解質(特にカリウム)チェック、危険な高カリウム血症があれば即時の治療が行われます。状態が落ち着いたら、鎮静もしくは全身麻酔のもとで、潤滑剤を塗った導尿カテーテルを閉塞部に通し、膀胱内を生理食塩水で洗浄します。そのうえで、柔らかい留置カテーテルを置いて尿の流れを確保し、尿道の腫れを引かせる時間を作ります。

留置カテーテルは状態により 24〜48 時間程度を目安に置かれ、腎機能や尿の性状が改善しなければ延長されます。抜去のタイミングは、尿の見た目が澄み、排尿量が正常域に戻ったときが目安です。必要以上に長く置くと細菌定着のリスクが上がるため、必要最小限の期間にとどめるのが基本です。

留置カテーテルを入れた猫のうち、およそ 7 頭に 1 頭はカテーテル由来の細菌尿を起こします。現在の指針では、臨床症状がないかぎり陽性培養結果だけで抗菌薬を投与することは推奨されていません。多くの場合、カテーテルを外すと自然に消えていくからです。

会陰尿道造瘻術(えいんにょうどうぞうろうじゅつ、PU 手術)

PU 手術は、尿道閉塞を繰り返してカテーテル処置だけでは長期的に管理しきれないオス猫、あるいは重度の尿道損傷のある猫に対して検討される選択肢です。手術ではオス猫の尿道のいちばん細い部分を切除し、より太い骨盤部の尿道を直接皮膚に縫合して、永久的で詰まりにくい新しい排尿口を作ります。要するに、いちばん詰まりやすい部分を迂回する手術です。

成績は悪くありませんが、完璧ではありません。

結果報告されている割合
再発も合併症もなし30〜60%
飼い主さん評価で生活の質「良好」約 88%
再発性尿路感染症約 23%
尿やけ・皮膚炎約 5%
何らかの合併症約 32%

PU 手術が解決するのは「物理的な閉塞」の部分です。下部尿路疾患そのものを治すわけではありません。手術前に FIC があった猫は手術後も FIC を起こすことがあり、新しい結石ができる可能性も残ります。むしろ尿道が広くなった分、外部から細菌が入りやすくなり、感染症リスクは増えます。食事・水分・ストレス対策は、その後も愛猫の一生を通じて続けることになります。

再発を防ぐために

原因が何であっても、予防のポイントはおおむね同じです。尿を薄く保つ、ストレスを下げる、初期のサインを見逃さないという 3 つです。

水分摂取は取り組みやすく、効果も期待しやすい対策です。 ウェットフードはドライフードのおよそ 4〜5 倍の水分を含み、段階的に切り替えれば多くの猫が受け入れてくれます。家の中で愛猫がよく通る場所に水入れを複数置き、毎日新しい水に取り替えましょう。流れる水を好む猫であれば、自動給水器を試す価値があります。

食事。 結石の既往がある猫には、長期的な泌尿器用または結石予防用の処方食が勧められることが多くなります。FIC の猫に関しては、配合の細かい違いより、水分の多い食事を続けられるかどうかのほうがしばしば重要です。マグネシウムやリンの多いおやつやサプリメントを思いつきで足すのは避け、まずは獣医師に相談しましょう。

環境。 これは FIC の予防の中心です。上に挙げた MEMO の基本を続けることが、どの薬よりも発作頻度を下げる近道です。

経過観察。 定期的な尿検査、結石の既往があれば定期的な画像検査によって、再発を緊急事態になる前に早めに見つけやすくなります。愛猫に泌尿器の問題があった場合は、普段のトイレのパターンを覚えておくと、「いつもと違う」に早く気づけます。

水を飲んでもらう工夫の続きは、水分補給ガイドも合わせてご覧ください。

だいたいの費用感

費用は地域、時間帯、来院時の重症度で大きく変わります。日本のおおよその目安として:

  • 閉塞ではない泌尿器症状の検査(診察+尿検査、必要に応じて画像):¥5,000〜¥20,000 程度
  • 救急での閉塞解除+入院(1〜2 泊):¥100,000〜¥350,000 程度(夜間救急ではさらに上がります)
  • 会陰尿道造瘻術(PU 手術)+入院:¥150,000〜¥350,000 程度(紹介病院・高度医療・合併症ありではさらに高額)
  • 長期の泌尿器用処方食:製品や給与量によりますが、月あたり数千円〜1 万円前後が目安です

ペット保険は最初の発作より前に加入しておくと、家計負担の軽減に役立つことがあります。診断後に新しい保険に入ろうとすると、ほとんどの保険会社で「既往症」として除外されるので、加入を考えるなら早いタイミングがおすすめです。

やらなくていいこと

ネットで見かけることはあっても、効果が確認されていない、あるいは悪化させる可能性のある対応として、避けたいものを挙げます。

  • クランベリー抽出物。 人間の一部の尿路症状には役立ちますが、猫の FLUTD に効くという確かなエビデンスはなく、猫の尿 pH への影響も予測しにくいです。
  • フードや水へのリンゴ酢の添加。 猫の泌尿器疾患の治療法ではありません。やみくもに尿を酸性化させると、リスクのある猫ではかえってシュウ酸カルシウムができやすくなります。
  • 温湿布や「もう少し様子を見る」(オス猫の閉塞時)。 愛猫の命に関わる行為です。動物病院で行う減圧処置に、家庭で代用できるものはありません。
  • D-マンノース。 人間の一部の単純性細菌性尿路感染症で使われますが、猫での有効性は確立していません。

よくある質問

オス猫が今、力んでいるのに尿が出ません。どうすればいいですか。 今すぐ救急動物病院へ向かってください。朝まで待たない、民間療法を試さない、便秘だと決めつけない、この 3 つを守ってください。数時間のあいだに数滴しか出ていない、あるいはまったく出ていないという状況で力んでいるなら、緊急事態として動きましょう。本当に怖いのは見た目の派手さではなく、まだそれほど苦しそうに見えないうちから上昇している血中カリウムです。

尿道閉塞は、放っておくとどのくらいで命に関わりますか。 完全に詰まった尿道を放置した場合、24〜48 時間で致死的になりえます。まず機能不全に陥るのは心臓で、血中カリウムの上昇による不整脈が原因です。見た目に明らかに具合が悪そうになる頃には、体の中ではすでに危険な変化が進んでいます。だからこそ反応の単位は「日」ではなく「時間」です。

FIC は治る病気ですか、それとも管理する病気ですか。 管理する病気です。FIC を根治する薬や手術はありません。変えられるのは発作の頻度と強さです。水分摂取、環境調整、発作時の鎮痛をその猫に合わせて組み立てていくと、何年も発作なしで過ごせる猫も少なくありません。

12 歳の高齢猫の血尿は、若い猫と原因は同じですか。 違うことが多いです。10 歳を超えると、特に慢性腎臓病、糖尿病、甲状腺機能亢進症のある猫では、細菌性尿路感染症の可能性が前に出てきます。獣医師は最初から FIC と決めつけず、尿培養を選択する傾向があります。多くはありませんが、膀胱の腫瘍も高齢猫で泌尿器症状が続いている場合の鑑別に挙がります。

尿路結石は食事で予防できますか。 ある程度できます。ストルバイト結石は適切な処方食で溶解も予防もできることが多いです。シュウ酸カルシウム結石は食事では溶解できませんが、別の処方食を続けると新しい結石ができる速度を下げられます。どちらの食事を使うかは結石の種類によって変わるので、成分分析が大切になります。

PU 手術で FLUTD は治りますか。 治りません。PU 手術は尿道を広げ、もっとも危険な完全閉塞を起こりにくくする手術です。下部尿路疾患そのもの(FIC や結石)の管理は、術後も水分・食事・ストレス対策の継続が必要です。

どうしてストレスで尿の問題が出る猫がいるのですか。 現在の理解では、FIC の猫はストレスに反応する仕組みが過敏で、それが行動だけでなく膀胱の粘膜にまで影響するとされています。脅威を感じたときに膀胱の炎症が起きるのは、人がストレスで偏頭痛や胃痛を起こすのと似た、れっきとした生理現象です。だからこそ「リラックスして」と言葉で伝えるより、引き金を減らし全体の脅威感を下げるほうが効果があります。

家で FIC・結石・閉塞を見分けられますか。 見分けはあまりあてになりません。症状の重なりが大きく、しかも「膀胱炎」と「完全閉塞」を区別できるかどうかがいちばん重要な判断だからです。動物病院での診察と尿検査、必要な画像検査で見分けていきます。

オス猫がおしっこをできないときは、それは「あとで」ではなく、いま動物病院に行くべき状況です。この記事の他の話題は、すべてその一点を踏まえたうえでの議論です。それ以外の多くのケースは、原因が特定でき、家の環境(十分な水、合った食事、低いストレス、トイレの様子の変化に気づく人がいる)が整っていけば、ふだんの生活のなかで管理しやすくなることが少なくありません。過去に泌尿器のトラブルがあった愛猫の場合は、次に異変があったときに見返せる対応プランを、獣医師と一緒に紙にまとめておくと安心です。

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