猫の目やに・涙目|原因・自宅ケア・受診の目安を解説

猫の目やに・涙目|原因・自宅ケア・受診の目安を解説

愛猫の目やにが気になると、心配になりますよね。寝起きに目頭へ少し目やにがついている程度なら、ほとんどの場合は心配いりません。ですが、片目がずっと涙でぬれている、目やにで目が開かない、黄色いねばついた分泌物が出ているといった場合は、別のサインのことがあります。目は、小さなトラブルが短い時間で深刻になりやすい、数少ない場所のひとつです。この記事では、目やにの主な原因、自宅で安全に目を拭く方法、そしてすぐに受診すべきサインを解説します。

正常な目やにと、注意したい目やに

猫は一日じゅう涙を分泌しています。涙は目の表面を清潔に保ち、そのあと細い管を通って鼻へと流れていきます。その多くは目に見えないかたちで行われています。目頭に黒っぽい、または赤茶色の小さなかたまりがついていても、特に朝起きたときであれば、それは乾いた涙であり、心配いりません。

注意したいのは、目やにが絶え間なく出る、色が変わる、ほかの症状と一緒に出るようになったときです。片目がずっと涙でぬれている、拭いても数時間でまた目頭が固まる、分泌物が黄色や緑色になる、充血や腫れがある、愛猫が目を細めたり前足で顔をこすったりする。こうした様子は気にかけてあげましょう。分泌物の量、色、そして愛猫自身が気にしているかどうかが、判断の手がかりになります。

目やにの状態からわかること

分泌物の見た目は、いちばん早く得られる手がかりです。診断そのものはわかりませんが、どのくらい心配すべきかの目安にはなります。

見られる状態多くの場合の意味対応
透明でさらさらした涙があふれる涙がうまく流れていない、または軽い刺激しばらく様子を見る。突然始まった、片目だけ、愛猫が明らかに気にしている場合は早めに受診
ねばついた黄色や緑色の分泌物感染、多くは結膜炎受診を予約する。治療が必要
目の下の赤茶色の汚れ涙が長くあふれてできた涙やけ多くは見た目の問題。涙やけが続く場合は受診時に伝える
充血や目を細める様子をともなう分泌物角膜潰瘍(かくまくかいよう)など、痛みのある問題その日のうちに受診

透明でさらさらした分泌物は、最も軽いタイプです。涙が排出される速さよりも作られる速さが上回っているか、目が軽く刺激を受けている状態を示します。ねばついて色のついた分泌物は、それとは逆です。多くは感染を意味し、感染は様子を見るのではなく治療が必要です。鼻の脇に赤茶色の筋ができる「涙やけ」は乾いた涙の色素で、医学的な問題というよりは見た目の問題ですが、涙がしばらくあふれ続けていたことを教えてくれます。そして、目を細める、目を閉じているといった様子をともなう分泌物は、痛みがあるサインなので、何よりも先に対応してあげましょう。

片目だけか、両目か

先に進む前に、症状が片目だけか、両目かを確認してみましょう。これは本当に役立つ手がかりです。

片目だけに症状がある場合、原因は局所的なことが多いです。目の表面の傷、まぶたの下に入った異物、その側の鼻涙管(びるいかん)のつまり、ケンカやひっかきによるケガなどです。両目に症状がある場合は、外から来たものというより、体の中から来た原因を示すことが多く、ウイルス感染や猫風邪などが当てはまります。これは絶対の決まりではなく、特にヘルペスウイルスは片目から始まってもう片目に広がることもありますが、まず最初に確認しておきたいポイントです。

猫の目やにの主な原因

結膜炎と猫風邪

結膜炎(けつまくえん)、つまりまぶたの内側を覆うピンク色の組織の炎症は、猫の目やにの最も多い原因です。目は赤く腫れぼったく見え、分泌物はさらさらしたものから、ねばついた黄色いものまでさまざまです。

猫では、最も多い原因は猫ヘルペスウイルスで、飼い主さんが「猫風邪」と呼ぶ病気の多くもこのウイルスによるものです。ほかの感染原因には、目に強く症状を出しやすい猫クラミジア(Chlamydia felis)やマイコプラズマ、そして猫カリシウイルスがあります。目やにがくしゃみや鼻水と一緒に出ているときは、上部気道感染症が原因のことが多く、目と鼻は同じ病気が別の場所に現れているだけです。

ヘルペスウイルスには、知っておきたいやっかいな特徴がひとつあります。感染した猫の多くはウイルスを生涯持ち続け、ウイルスは体内でいったん静かになったあと、ストレスがかかったときに再び症状を出します。そのため、最初の感染から数か月、ときには数年たってから、新しい猫が近くにいないのに目が涙でぬれて充血することがあります。

角膜の傷と潰瘍

角膜(かくまく)は、目のいちばん前にある透明なドーム状の部分です。猫どうしのケンカ、伸びた爪、はげしい遊び、異物などでついた角膜の傷は、角膜潰瘍に進むことがあります。ヘルペスウイルスも潰瘍を引き起こします。

これは最も重視したい原因です。角膜潰瘍は痛みがあり、進行も早いからです。角膜潰瘍のある猫はたいてい目を細め、目を閉じ、前足で顔をこすり、光をいやがります。目が白っぽく、にごって見えることもあります。治療しないままだと潰瘍は1〜2日で深くなり、最悪の場合は目そのものをおびやかします。角膜潰瘍が疑われる状態は、その日のうちに受診すべきものです。

ただし、痛みのある、にごった、または強く充血した目が、いつも潰瘍とは限りません。緑内障(りょくないしょう)や、眼球の内部そのものの炎症であるぶどう膜炎(ぶどうまくえん)も、似た様子を示し、同じように急を要します。ここで大切なのは、明らかに痛がっている目は自己判断ではなく獣医師にゆだねるべき、ということです。それは最終的な原因が何であっても変わりません。

鼻涙管のつまり

涙はふだん、鼻へとつながる細い管を通って目から排出されます。この管がつまったり狭くなったりすると、涙は行き場をなくし、下まぶたからあふれてしまいます。多くはヘルペスウイルスの炎症のあとに残った傷あとが原因です。その結果、充血や感染はないのに、ずっと涙でぬれている目になります。これは緊急事態というより困りごとに近く、獣医師が確認し、場合によっては鼻涙管を洗い流して通すこともできます。

ドライアイ

目やにの多くは、涙が多すぎるか、うまく流れないことが原因ですが、その逆も起こります。ドライアイは、目が十分な涙を作れない状態です。目の表面が洗い流されず、うるおいも保てないため、かえって濃くねばついた分泌物がたまります。ドライアイは犬に比べると猫では少なく、起きた場合は過去の猫ヘルペスウイルス感染と関係していることが多いです。獣医師は、短時間で痛みのない検査で涙の量を測ることができます。一般的な感染とは様子が違い、片目がずっとべたついているようなら、ドライアイの可能性を獣医師に伝えてみるとよいでしょう。

異物

小さなものが、まぶたの下や瞬膜(しゅんまく)の裏に入り込むことがあります。草の種、猫砂のかけら、植物の小さな破片などです。症状はたいてい突然で片目だけに出て、大量の涙、目を細める様子、前足でかく様子をともないます。異物は獣医師に見つけて取り除いてもらう必要があり、自宅で取り出そうとすると角膜を傷つけるおそれがあります。

猫種とまぶたの形

ペルシャ、エキゾチックショートヘア、ヒマラヤンといった短頭種(鼻ぺちゃの猫種)は、もともとの体のつくりから涙が出やすい傾向があります。眼窩(がんか)が浅く、鼻涙管の構造上、涙がうまく流れにくいため、これらの猫は目の下の毛が汚れやすくなります。まぶたの問題も関係します。眼瞼内反(がんけんないはん)では、まぶたが内側へ巻き込まれて被毛が目をこすり、矯正するまで刺激と分泌物が続きます。

すぐに受診すべきサイン

目やにの多くは、1日待って通常の診察を受けても問題ありません。ですが、痛みのある目は別です。痛みがあるかどうかが分かれ目で、猫はそれをわりとはっきりした形で示します。

目を細める、痛がる目は、その日のうちに受診を

愛猫が目を細める、目を閉じている、前足で目をこすったりかいたりする、光をいやがる、目が白っぽくにごって見える、といった場合は、緊急の状態として考えてください。これらは角膜潰瘍など、痛みのある目のトラブルのサインで、目の問題は1〜2日で悪化することがあります。様子を見て待たず、また、残っている薬や人間用の目薬を自己判断でさすこともやめましょう。合わない目薬は、潰瘍を大きく悪化させることがあります。

通常の受診を予約する目安

上のような緊急のサインがなくても、多くの目やにはやはり獣医師に診てもらう価値があります。急いで駆け込むほどではない、というだけです。次のような様子に気づいたら、診察を予約しましょう。

  • 1〜2日を超えて続く目やに
  • 片目または両目に出る、ねばついた黄色や緑色の分泌物
  • 拭いてもまた目が固まって開かなくなる
  • まぶたの充血や軽い腫れ
  • 何度も繰り返す涙目
  • くしゃみや鼻水、食欲の低下をともなう目やに

子猫もこのグループに入ります。生まれて間もない子猫や、とても幼い子猫は、ときに目が開く前から重い目の感染症を起こすことがあり、様子を見るのではなく早めに受診させてあげましょう。

自宅で安全に目を拭く方法

診察を待っている間や、獣医師がすでに把握している軽い再発をケアしている間は、やさしく拭いてあげると愛猫が楽に過ごせます。乾いた分泌物は不快なうえ、目のまわりの毛を固まらせてしまいます。

きれいなコットンややわらかい布を、温かい湯で湿らせます。生理食塩水(せいりしょくえんすい)があればなお良いです。目頭から目尻に向かって、分泌物が自然に流れる向きにそって、やさしく拭きます。コットンは左右の目それぞれに必ず新しいものを使い、同じものを二度使わないでください。片方の目に感染があると、使い回したコットンがそれをそのままもう片方の目へ運んでしまいます。分泌物が出ている間は、1日に2回ほど拭けばたいてい十分です。

避けたいこともいくつかあります。人間用の目薬、コンタクトレンズの保存液、以前の通院で残った目薬は使わないでください。人間用の目薬には、診断のついていない角膜潰瘍やヘルペスウイルスによる目の病気を大きく悪化させる成分が含まれていることがあります。固まって閉じた目を無理に開けようとせず、目の表面には触れないようにしましょう。目のまわりの毛を清潔な水や生理食塩水で拭くのは安全ですが、目の中に入れるものは、すべて獣医師の指示にしたがってください。

治療の流れ

治療は原因によって大きく変わります。だからこそ、薬を使う前に診断をつけることが大切です。獣医師は目を診察し、多くの場合は害のない染色液を使って角膜潰瘍を浮かび上がらせ、実際に見つかったものに合わせて治療します。

細菌性の結膜炎は、ふつう局所的な抗生物質の点眼薬や眼軟膏で治療します。クラミジア感染はそれとは異なり、点眼薬だけでは完全に取り除けないことが多いため、ふつうは飲み薬の抗生物質を一定期間しっかり続ける必要があります。ヘルペスウイルスによる目の病気は、ウイルスを体から完全に取り除くことはできないため、抗ウイルス薬と支持療法(しじりょうほう)で症状を管理します。角膜潰瘍は、治っていく間の痛みをやわらげ、感染から守る必要があり、猫がこすらないようにエリザベスカラーを使うこともあります。深い潰瘍では手術が必要なこともあります。つまった鼻涙管は、洗い流して通せることもあります。異物は取り除くだけです。

これらすべてに共通するのは、獣医師が潰瘍を否定するまで、ステロイドの入った目薬は使えないということです。ステロイドは潰瘍やヘルペスウイルス感染を大きく悪化させることがあるためです。これこそが、家に残った薬を使ってはいけない本当の理由です。残った目薬は役に立たないだけでなく、合わないものをさせば、実際に目を傷つけてしまいます。

目のトラブルを減らすために

すべての目の不調を防ぐことはできませんが、いくつかの習慣でリスクを下げることはできます。

コアワクチンである3種混合ワクチンを、きちんと接種・追加しておくと役立ちます。ヘルペスウイルスとカリシウイルスをカバーし、これらが起こす目の病気を軽くしてくれるからです。日常のストレスを低く保つことも大切です。ストレスはヘルペスウイルスがぶり返す主なきっかけで、落ち着いた猫ほど再発は少なくなります。ほこりの少ない環境は、目への絶え間ない刺激を減らします。短頭種の場合、目のまわりをやさしく日常的に拭くことや、定期的な検診は、何かが起きたサインではなく、ふつうのケアの一部です。

そのほかには、ただ気にかけてあげることが役立ちます。猫は何事もないように振る舞うのが得意なので、毎日数秒、両目が澄んでいて、輝いていて、左右そろっているかを見てあげると、小さな問題を小さいうちに見つけられます。

Furwise でできること

目のトラブルは、記録があると獣医師に伝えやすくなります。Furwiseでは、分泌物を写真に残したり、どちらの目か・いつ始まったかをメモしたり、よくなっているか悪くなっているかを記録したりできます。動物病院に着いたとき、片目か両目か、どのくらい続いているか、痛がっている様子があるか、といった診断に役立つポイントを、記憶だけにたよらずに答えられます。

寝起きに目頭へ少し目やにがついているのは、猫が猫らしく過ごしているだけのことがほとんどです。ですが、絶え間ない涙、色のついた分泌物、目やにで目が開かないといった状態は、多くの場合は治療が必要な感染を意味し、なかでも猫風邪による結膜炎が最も多い原因です。決して待ってはいけないサインは痛みです。目を細める、にごっている、痛がる目は角膜潰瘍を示し、その日のうちの受診が必要です。迷ったときは、分泌物の色、片目か両目か、そして愛猫がどのくらい気にしているか、この3つがいちばんの判断材料になります。

よくある質問

猫の目やには少しなら正常ですか? 正常です。目頭の内側に黒っぽい、または赤茶色の小さな目やにがついている程度なら、特に寝起きであれば、それは乾いた涙であり、まったく正常です。正常でないのは、絶え間なく出る、濃い、黄色や緑色の分泌物や、充血・腫れ・目を細める様子をともなう分泌物です。量と色が、心配すべきかどうかを教えてくれます。

猫の片目だけ目やにが出るのはなぜですか? 片目だけの目やには、たいてい局所的な問題を示します。目の表面の傷や潰瘍、まぶたの下に入った異物、その側の鼻涙管のつまり、ケガなどです。両目の目やには、猫風邪のような感染のサインであることが多いです。絶対の決まりではありませんが、まず確認するとよい手がかりです。

猫に人間用の目薬を使ってもいいですか? いけません。人間用の目薬や残った目薬を猫の目にさしては絶対にいけません。なかには、特にステロイドなど、診断のついていない角膜潰瘍やヘルペスウイルス感染を大きく悪化させる成分が含まれているものがあります。清潔な温かい湯や生理食塩水で目を拭くのは安全ですが、薬の入った目薬は、目を診察した獣医師に処方してもらってください。

猫の目の下の赤茶色の汚れは何を意味しますか? 赤茶色の汚れは「涙やけ」と呼ばれ、涙がうまく排出されずに毛にあふれたときに残る、乾いた涙の色素です。鼻涙管の流れがよくない短頭種によく見られます。涙やけそのものは多くが見た目の問題ですが、涙が出続けている場合は、まれに鼻涙管のつまりを示すこともあるため、獣医師に伝えておくとよいでしょう。

猫の目を安全に拭くにはどうすればいいですか? きれいなコットンややわらかい布を、温かい湯か生理食塩水で湿らせます。目頭から目尻に向かってやさしく拭き、片方の目から別の目へ感染を広げないよう、左右の目それぞれに新しいコットンを使います。人間用の目薬は使わず、固まって閉じた目を無理に開けようとせず、目の表面そのものには触れないでください。

猫の目やにはどんなときに緊急ですか? 愛猫が目を細める、目を閉じている、前足で目をかく、光をいやがる、目が白っぽくにごって見える、といった場合は緊急の状態と考えてください。これらは角膜潰瘍など痛みのあるトラブルのサインで、目の問題は1〜2日で悪化することがあります。痛みのある目は、自宅で様子を見るのではなく、その日のうちに診てもらいましょう。

参考文献

  1. Cornell Feline Health Center. Conjunctivitis. Cornell University
  2. Thiry, E., et al. (2009). Feline Herpesvirus Infection: ABCD Guidelines on Prevention and Management. Journal of Feline Medicine and Surgery, 11(7), 547-555. DOI
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  4. Hartley, C. (2010). Treatment of Corneal Ulcers: What are the Medical Options? Journal of Feline Medicine and Surgery, 12(5), 384-397. DOI